HP-12cが欲しい!って人が知っておくべき情報まとめ。HP-12c 金融電卓についてわかりやすく解説します。HP-12cの機能紹介、HP-12c 金融電卓の使い方、他メーカーの金融電卓との比較も行います。
HP-12c 30周年記念モデル(筆者撮影)
HP-12cとは、米国のヒューレット・パッカード社(略してHP)が1981年から製造している金融電卓です。借入に関する月額返済額や金利計算などの各種ローン計算、預け入れに関する金利や受け取り額計算、債券や減価償却計算など高度な金融計算ができる高機能 金融電卓です。発売開始の1981年からすでに35年以上経過しており内部のCPUの高性能化などがされながらも基本的なデザインは、機能、操作性は変わらずロングセラー商品として今でも製造販売され続けています。
HP-12cは、様々な高度な金融計算を行うことができるものの、その操作方法は特殊ですので、業務で使う金融電卓を購入したいと思っている不動産営業や車営業の方、または銀行マンの方など一般的人にはおすすめできません。人とは違うことに喜びを感じる方や、電卓マニアの方、プログラマーの方、起業家の方など、ちょっと特別な方にのみおすすめします。それではHP-12cがどれだけ特殊な電卓であるか、順に見ていきましょう。
一番特殊なのが「逆ポーランド記法」による入力です。筆者がこのHP-12cを購入したのは今から5年以上昔のことです。逆ポーランド記法という特殊な入力法や各種金利計算性能に魅力を感じて購入しました。「逆ポーランド記法」という言葉は、理系の方なら聞いたことがあるかもしれません。筆者も学生時代に授業でプログラミングを学んだ際に逆ポーランド記法を学びました。
逆ポーランド記法とは何か?
HP-12cで「1+2」を計算するには「1」「ENTER」「2」「+」の順番にキーを入力します。一般的な電卓では「1 + 2 =」と入力しますが、「逆ポーランド記法」では入力の順番が異なります。
では、「1+2×3」を計算する方法?
括弧機能が使える関数電卓なら「1+(2×3)=」、普通の電卓なら「CM 1 M+ 2×3 M+ RM」と入力するか「2×3+1=」と入力します。
HP-12cで「1+2×3」を計算するには「1 ENTER 2 ENTER 3 × +」と入力すると結果の「7」が表示されます。これが逆ポーランド記法の一例です。
逆ポーランド記法について説明すると長くなるので詳しく知りたい人はネットで検索してください。逆ポーランド記法なんて興味がない、わからないという方はこれ以下読まなくても結構です。逆ポーランド記法がわかる人、逆ポーランド記法に興味がある特別な方だけがHP-12cを使うことができます。
逆ポーランド記法、それっなに?という方は決してHP-12cを購入しないでください。HP-12cに興味が無いけど金融電卓には興味があるという方は様々な金融電卓を紹介する金融電卓 おすすめ購入ガイドをご覧ください。
HP-12のサイズは、横12.9×奥行8.0×厚み1.52cm (w5.1×d3.1×h0.6インチ)、重さ116g (4.09オンス)(電池込み)とかなり小型です。一般的な電卓と比べると少し小さく、折りたたみ式の金融電卓SHARP EL-K632-X、CASIO BF-750-N / CASI OBF-480-Nとほぼ同じ大きさです。NINTENDO DSよりは小さくて軽いです。小型の電卓ですので製品に付属するケースに入れていつもカバンの中に入れて持ち運びできます。
HP-12cはキーを入力する際に、プチプチと押す感覚が気持ち良いです。小型のHP-12cを両手で持って、左右の親指でプチプチしているとかなり気持ち良いです。梱包材のプチプチをプチプチしながら時間つぶしできるのと同じような感覚でずっとプチプチしていられます。このプチプチ感を味わうためだけにでもHP-12cを購入する価値があるかというと、それはちょっとなさそうです。HP-12cの実売価格は日本円で8000円前後と、金融電卓の中では最も高価な部類に入りますのでお金に余裕がある方以外は購入をお勧めしません。
HP-12cは米国製品ですので、すべての表示が英語表記となります。でも安心してください。日本で販売されている正規販売品には日本語のマニュアルが付いていますし、(少し安く購入できる)平行輸入品を購入した場合も日本語マニュアルはネット上でダウンロードできます。
世界中に無数にあるファイナンス資格の中で、圧倒的なステータスを誇る米国証券アナリスト資格CFAの試験にHP-12cを持ち込むことができます。当サイトで紹介している金融電卓の中では唯一持ち込み可能な電卓です。HP-12c以外には、Texas Instruments BA II Plus (BA II Plus Professionalを含む)という金融電卓を持ち込むことができます。
HP-12cで計算する際は通常の電卓とはちょっと異なる「逆ポーランド記法」という方法で入力しますが、逆ポーランド記法を理解した方にとっては、簡単にローンを行うことができます。
HP-12cでローン計算を行うには次の変数5つのうち、4つを入力することにより残りの1つの値を計算します。
上記表記は、PV、PMT、FVのように暗号のように見えるかも知れませんが、それぞれPV=Present Value、PMT=Payment、FV=Final Valueの略です。英語略後で表記されていますので、英語の意味を理解したら省略表記も直ぐに覚えることができるでしょう。では、次の実例で実際にローン計算を行って見ましょう。
【例1】HP-12cでローン計算【月額返済額を計算】する方法
n=360 ・・・Nuber of periods 360回払いの意味
i=1.35÷12 ・・・Interest rate 月利=1.35/12(%)
PV=30000000 ・・・Present Value 現在価値=3000万円
FV=0 ・・・Future Value 将来価値=0
として PMT(Payment=支払い額)の値を求めます。
iは支払い回数1回あたりの金利ですので、今回年利1.35%を12で割った値を用います。
【例1を計算するための操作方法】次の通り入力します
360 [n] ・・・ここで[括弧付きの文字]は対応するキーを押します。
1.35 [g][12÷]
30000000 [PV]
0 [FV]
[PMT]
【例1の画面の流れ】
①「360 [n]」を押して支払い回数をnに代入します。30年払いですので支払い回数は30×12=360となります。
「360 [n]」を入力するか、または「30 [g] [12×]」と入力します。「360 [n]」は、360をnに代入するという意味です。「30 [g] [12×]」は30=年数なので「[g] [12×]」の「[g](青色ボタン)」はシフトキーを押して「[n]」キーに割り当てられた青色の機能「[12x]」つまり30(年数)の12倍の数字360(月数)に変換してnに代入するという意味です。
②「1.35 [g][12÷]」を押して、1.35÷12の値(つまり月利)をiに代入します。
1.35は年利ですので1回あたりの金利は1.35の1/12の値を入力します。「1.35 [g] [12÷]」のキーを押すと、年利1.35%を「[g] [12÷]」に割り当てられた「12÷」の機能を使って年利1.35(%)を1/12にして月利%をiに代入します。ここでは「0.11」と小数点以下2桁まで表示されていますが内部的には1.35/12=0.1125として処理されています。なお、小数点以下の表示桁数は設定で変更できます。
③「30000000 [PV]」を入力して、現在価値3000万円をPVに代入します。
3000万円を借り入れるので「30000000 [PV]」と押して3000万円をPVに代入します。PVは「借入はプラスの数字」になります(後述しますが、預入はマイナスの数字になります)。
④「0 [FV]」を入力して、将来価値FVに0を代入します。
FV=0は、つまり完済時の価値=0という意味です。
⑤「[PMT]」を押して、PMTを計算します。
すると、上記の通り計算結果「-101390.53」が表示されました。なお、小数点以下の表示桁数は簡単に設定変更できます。
以上の操作で借入額3000万円、年利1.35%、30年返済の場合の月額返済額計算結果が表示されました。
ここで数字がマイナスになっているのは「支払う」という意味です。HP-12cでは、お金が支出する際はマイナスの数字になり、お金を受け取る場合はプラスの数字になります。様々な場面でこのマイナス、またはプラスの数字が意味のあるものになります。なぜマイナスになるのか?最初はちょっと理解が難しいかも知れませんが、慣れればわかりやすいです。すぐに理解できるようになります。
上記計算結果では小数点以下が2桁表示されていますが、これは設定により小数点以下の桁数を増やすことも減らすこともできます。標準では小数点以下2桁が表示されます。
HP-12cにはどんな機能がついているか、HP-12cで何ができるかについて解説します。
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